駅から歩いて10分程で、武家屋敷が残る内町に着く。東勝楽丁から表町下丁への道路は途中、桝形になり、行き止まりのように見える箇所がある。城下町でよく用いられる手法で、見通しを避け、防衛する役割をもっていた。現在その意味は失ってしまったが、景観の演出効果を果たしている。
通りには平行して黒塗りの透かし塀や簓子塀が続く。単調な連続性をもった塀に、薬医門がアクセントを与えている。また、この通りに入ると木立の中にいるような印象を受けるが、屋敷に植えられた枝垂れ桜や樹木が茂りに茂り、巨木となって家や道路を覆っているため。樹木の間からかすかに垣間見える建物に、人の気配は感じられず、静寂な雰囲気だけが伝わってくる。薬医門の前に佇むと、初めてその屋敷の全容を目にすることができる。苔むした庭、母屋と漆喰塗りの蔵。漆喰の白さが、昼なお暗い屋敷林を照らす。
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